賃貸物件の退去時における原状回復は、「入居時の状態に完全に戻すこと」ではなく、借主の故意・過失によって生じた傷や汚れを修繕することを指します。
1,費用負担の基本的な考え方
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、負担区分は明確に分けられています。
・貸主(大家)負担:
●経年劣化:日差しによる壁紙の変色など、時間の経過による品質の低下。
●通常損耗:家具の設置跡など、普通に生活していて発生する摩耗や汚れ。
・借主(入居者)負担:
●故意・過失:不注意でつけた壁の穴や床の大きな傷。
●善管注意義務違反:結露を放置して発生させたカビや、タバコのヤニ汚れなど。
2、費用の相場目安
物件の間取りや損傷の程度により変動しますが、一般的な清掃・補修費用は以下の通りです。
・単身向け(1R/1K):約30,000~60,000円
・ファミリー向け(2LDK/3LDK):約100,000~180,000円
・部位別補修:柱の傷などは部分補修で1~6万円、交換が必要な場合は5~10万程度かかる場合があります。
3、トラブルを防ぐためのポイント
・契約内容の再確認:「退去時クリーニング費用は借主負担」といった特約がある場合、通常損耗であっても支払い義務が生じることがあります。
・写真による記録:退去立ち合い時には、管理会社と一緒に修繕が必要な箇所を確認し、自分でも写真を撮っておくことが重要です。
・耐用年数の考慮:壁紙(クロス)などの設備には耐用年数(例:6年)があり、入居期間が長いほど借主の負担割合は減少します。
補足文 納得できない高額請求を受けた場合は、国民生活センター(消費者ホットライン:188)などの第三者機関へ相談してください。